EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(149)

Donor cell derived chronic MPD after cord blood transplantation

(ドナ-由来の慢性骨髄増殖性疾患-最初の報告)

  さい帯血移植後5ヵ月目に、ドナ-由来とされるMPD(骨髄増殖性疾患)を発病した初めての報告。 ドナ-の乳児はその後も健康であることが確認されています。
 症例は41歳の男性、Ph(フィラデルフィア)陽性の急性リンパ性白血病。 同時にこの症例は染色体異常を示す(NK/T  lineage)悪性リンパ腫も合併していることが判明。 ドナ-さい帯血の性別は女性。 移植は初回寛解期にCY/TBIの前処置にて行い、急性GVHDはⅠ度を合併。 移植後5ヵ月目に好中球が増加し、9ヵ月目の染色体検査にて、46,XX,t(7;11)であったことからさい帯血ドナ-由来の慢性MPDと診断。 最初の移植から15ヵ月後に2回目の骨髄移植を非血縁ドナ-、男性、から受け、現在は46,XYの正常核型となっています。
 1971年以後にドナ-由来の白血病は65例が報告され、ドナ-の隠された白血病が何らかの原因で誘起されたと考えられています。 この核型異常、t(7;11)は新規および治療関連の急性、慢性白血病。 骨髄増殖性疾患そして骨髄異形成症候群に特徴的とされます。 以上、ドナ-由来の染色体異常が証明された移植後慢性MPDの最初の報告です。 なお、ドナ-の染色体検査は倫理的な側面から検討されておりません。

コメント:白血病の発病解明のためには貴重な論文。

文献:Mitsui H et al. Donor cell-derived chronic myeloproliferative disease with t(7;11)(p15;p15) after cord blood transplantation in a patients with Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia. Int J Hematol 2007. 86:192-195.