EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(166)

Sustained survival and declining annual rate of transformation in patients with newly diagnosed CML-CP treated with imatinib
(2007 アメリカ血液学会抄録引用)

 有名なIRIS研究の66年間の追跡結果です。 慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬である「イマチニブ」投与群の5年予想全生存率は約88%でした。 細胞遺伝学的完全寛解(フィラデルフィア染色体の消失)となった「イマチニブ」群の頻度は、6年目には83%でした。 6年間でCMLの移行期以後への進行の頻度は0.4%でした。
 IRIS研究とは、慢性期のPh+CMLと診断された1,106名に、16カ国で行なわれた第3相臨床試験です。 試験デザインは「イマチニブ」群553人とインターフェロン(IFN)群553人の2群です。 「イマチニブ」群は11日400mgを、IFN群は毎月10日間、IFN500万単位/体表面積/dayとAra-C20mg/体表面積/dayの併用投与です。 忍容性の問題や、効果不十分のため、IFN/Ara-C群の65%が「イマチニブ」に切り替えましたが、「イマチニブ」群からIFN/Ara-C投与に切り替えた例は2.5%。 「イマチニブ」群の65.8%は現在も内服治療中ですが、31.6%(175例)は何らかの原因で研究から離脱しました。 下図に中止理由を示します。



コメント:大規模臨床試験の結果はCML治療中の人に希望を与えてくれます。

文献:Hochhaus A  et al. Sustained survival and declining annual rate of transformation in patients with newly diagnosed CML-CP treated with imatinib. Abstract #25 appears in Blood; volume110,issue 11,November 16  2007.