EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(204)

-First report of donor cell-derived acute leukemia-
(さい帯血移植後40ヵ月目にドナ-由来の白血病を発病)

 2005年にドナ-さい帯血由来の第1例目の白血病が確認されました。 ドナ-はすでに7歳に達しており、健康です。 確認方法は分子遺伝学的および分子生物学的方法によりました。 また、今年の日本造血細胞移植学会(大阪、平成20年、2月29日から3月1日)ではさい帯血移植後の1例と末梢血幹細胞移植後の1例が報告されています(臍帯血移植後にドナー由来の白血病を発症したリンパ腫-PS11-1,同種末梢血幹細胞提供ドナ-由来の急性骨髄性白血病-PS11-2、第30回日本造血細胞移植学会総会)。 文献的考察として、学会報告から引用すると、多数例の移植施設であるシアトルからは約1万例の移植で12例の報告、欧州骨髄バンクからは10489例の移植例中、14例の症例報告があるとしています。 幸い、その後の追跡では上記2演題ともにドナーは白血病を発病してはいません。 発病のメカニズムとして、患者の生体内環境がドナー細胞の白血病化を引き起こしている可能性がある。 今回の報告ではそれぞれ移植後1年3ヶ月、2年3ヵ月後にドナ-由来の白血病を発病しています。

コメント:稀な臨床報告ですが、今後の研究課題です。

文献1:Fraser CJ et al.  First report of donor cell derived acute leukemia as a complication of umbilical cord blood transplantation. Blood.2005; 106: 4377-4380.