EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(215)

-Risk assessment of CML before HSCT-
(移植前の背景因子を用いた評価)

 移植前の危険因子をスコア化し、移植の予後推定を試みた文献を紹介します。 Imachinib(グリベック)が臨床応用される前の論文。 1997年1月での解析。 3142名のCML(慢性骨髄性白血病)が対象。 解析に用いた因子は移植年度以外では以下の項目です。

1.HLA(一致ドナ- vs 不一致ドナ-)
2.移植時の病期(慢性期、移行期、その他)
3.ドナ-およびレシピエントの年齢と性別
4.診断から移植までの期間(12ヵ月以内 vs 13ヵ月以上)

以上をスコア化し、全生存率、移植関連死亡率を以下の図に示します。
61%の症例が生存中。 再発率は14%。最も、低いスコアは0点で年齢20歳以下、HLA一致兄弟ドナ-から診断後12ヵ月以内の慢性期に同種移植を最近受け、女性ドナ-から移植を受けた男性でない場合です。 最高得点は7点で、40歳以上の男性で、診断から13ヵ月以上経過した急性転化期に非血縁女性ドナ-から移植を受けた場合です。



コメント:移植前の背景をもとに移植予後の推定が可能。移植決断の参考となる。

文献1:Gratwohl A. et al. Risk assessment for patients with chronic myeloid leukaemia before allogeneic blood or marrow transplantation.Chronic Leukemia Working Party of the European Group for Blood and Marrow Transplantation. Lancet 1998; 352 : 1087 -1092