EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今月のEBM,ナウ(21)

移植成績は島国が良い?

 {文献要約}この文献は国際間共同研究の成果です。移植症例の貴重な情報を共有する事で国際間治療成績格差の謎を解明しようとしています。1990年から1999年までの白血病の標準リスク症例のみに対して施行したHLA一致同胞間骨髄移植について下記項目に対して検討を加えています。島国として日本から562人、南アイルランドの95人、スカンジナビア半島(スウェ−デン、ノルウエ−そしてデンマ−ク)192人、これらと比較のためIBMTR(国際骨髄移植登録)から白人系アメリカ人829人とアフリカ系アメリカ人71人を選び、上記の5群間で比較検討しています。検討項目は表に示します。明らかに、急性GVHD頻度と移植後100日内の移植関連死亡率(TRM)は白人系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人そして南アイルランドの3群が日本とスカンジナビアン半島群に比較して有意にリスクが高いという結果です。一方、小児科領域に限定すると白人系アメリカ人は急性および慢性GVHD頻度へのリスクが高いことが明らかにされました。詳細は参考文献参照ください。



結論:人種差はGVHD頻度と関連死亡に影響を与えるが、生存率には影響ない。

文献:Oh H et al. Comparison of graft-versus-host-disease and survival after HLA-identical sibling bone marrow transplantation in ethnic populations. Blood. 2005; 105:1408-1416.