EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(231)

-DCL after allogeneic PBSCT-
(末梢血幹細胞移植後のドナ-由来白血病)

 1971年に初めて、ドナ-細胞由来の白血病(DCL)を発病した骨髄移植後のレシピエント症例の報告がなされました。 現在まで、DCLに関しては50例以上の文献報告があります。 細胞種類別では末梢血幹細胞移植(PBSCT)後のDCLの論文報告は5例です。 今回は日本国内で第一例目(文献では6例目)の末梢血幹細胞移植後のDCL例を紹介します。 症例はAML-M2の49歳男性、52歳の兄から第2寛解期にPBSCT施行。 移植後27ヵ月後にAML-M2と診断。 細胞表面形質から判断すると初発時の細胞とは全く異なり、STR analysisでは完全ドナ-タイプ。 したがって、DCLと診断。その後、再移植(さい帯血)を施行するも72日目に移植関連死亡。 ドナ-は健康であることが確認されています。 また、ドナ-が非血縁の場合にDCLの事実をドナ-に伝えるかどうかの判断は今後の継続的な議論が必要な課題と考えられています。

EBM204ではさい帯血移植後、ドナ-細胞由来のリンパ腫の報告もあります。参考まで。

結論:EBMTの統計ではDCL頻度が0.1%とされます。診断にはキメリズム解析の確かな方法を用いる必要があります。形態学または染色体解析だけでは不十分です。

コメント:DCLの出現機序についての検討が待たれます。

文献:Murata M et al. Donor cell leukemia after allogeneic peripheral blood stem cell transplantation: a case report and literature review. Int J Hematol  2008;88:111-115.