EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(238)

-Catheter-related infections following high-dose chemotherapy-
(カテ-テル感染の危険因子)

 大量化学療法時に通常行われているカテ-テル挿入関連合併症の報告。
このカテ-テルは抗がん剤投与のために使用し、かつ、末梢血幹細胞の輸注にも使用しました。
 対象は56歳未満、初回化学療法の乳がん885例から条件を満たす392例を選びました。
 結果:カテ-テル留置の中央値は25日。
 好中球減少の中央値は10日、
 発熱日の中央値は4日、
 75%の例は広域スペクトルの抗菌剤で治療されました。
 高カロリ-輸液は29%に施行されました。
 血液培養陽性は186回あり、その起因菌で最も多いのはCNS (Coagulase-negative staphylococci)で56%を占めました。
 全体で20.4%の症例に敗血を合併しましたが、真菌血症は認めませんでした。
 また、赤血球や血小板輸血は感染の危険因子ではありませんでした。

多変量解析による感染の危険因子は
 ①好中球減少期間が10日以上、P=0.04、
 ②そのカテ-テルを抗がん剤投与と幹細胞輸注の目的で使用、P<0.01、
 ③高カロリ-輸液施行例、P=0.04。
以上の3項目で有意差を認めました。

結論:今回の検討では予想以上の感染合併がみられ、感染の危険因子から判断すると、カテ-テル挿入は症例毎にその種類・期間そして留置方法など再考の余地があると思われました。

文献: Nieboer P et al. Factors influencing catheter-related infections in the Dutch multicenter study on high-dose chemotherapy followed by peripheral SCT in high-risk breast cancer patients. Bone Marrow Transplant 2008;42:475-481.