EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今月のEBM,ナウ(23)

初めての報告---ドナ−由来の移植後再発

 さい帯血移植後の重大な合併症が報告されました。極めて稀です。12ヵ月の男の子へ提供されたさい帯血移植後40ヵ月目に彼は急性骨髄性白血病(異形成あり)を発病。それがドナ−由来の細胞であることが明らかにされました。幸い、ドナ−は男性、現在7歳で健康であることが確認されています。症例はLangerhans cell histiocytosis(LCH)と診断された12ヵ月の男の子。移植前処置はbusulfan+cyclophosphamide+etoposide+ATG. GVHD予防はcyclosporine + steroids。 移植後の染色体解析では46,XY。22番染色体の違いで明らかに移植片の確認が可能でした。また、細胞遺伝学的にも(VNTR)ドナ−由来が証明されました。この機序としては不明です。可能性としては@化学療法の影響A移植治療の影響BLCH自体の発がんリスクが高く、骨髄異形成症候群を伴いやすい等があります。

 結論:さい帯血バンクのあり方として、患者とドナ−との連絡が取れる体制作りが必要になる。


文献
 1.Fraser CJ et al. First report of donor-cell-derived acute leukemia as a complication of umbilical cord blood transplantation.  Blood. 2005; 106:4377-4380.