EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(262)

-HCT after RIC in AML older than 40 years-

(40歳以上へのミニ移植:オランダの報告)

 高齢者へのミニ移植は従来の若年者への移植と同等の生存率が期待できます(EBM79,EBM160、EBM185,EBM253)。 また、55歳以上血液疾患を対象に移植細胞源をさい帯血としてミニ移植施行した時の生存率は同胞間からのHLA一致ミニ移植と同等(EBM205)。 EBMT(欧州骨髄移植グル-プ)からは、高齢AML(急性骨髄性白血病、年齢の中央値58歳)へのミニ移植と自家移植との2群比較の結果、多変量解析で全生存率、無白血病生存率そして再発率ともにミニ移植の優位性が示されました(EBM197)。
 今回、オランダから43例のミニ移植の報告です。 AMLが36例、MDSが7例。年齢の中央値は58歳、進行期例が67%ですが移植前は41例が寛解状態でした。 移植後37%が再発、しかしTRM(移植関連死亡)は9%と低くミニ移植の安全性が証明されました。 1年での無病生存率は61%と勇気付けらます。無病生存に寄与する因子は単変量解析によると移植前の標準リスク症例でした。

考察:高齢者AMLへの化学療法治療成績が生存率20-30%という現状(EBM251)では、化学療法後にミニ移植を選択することで、生存率50%を越えられる可能性があります。

コメント:高齢でも標準リスクとされる初回寛解期でのミニ移植が推奨される。

文献:Huisman C et al.Hematopoietic stem cell transplantation after reduced intensity conditioning in acute myelogenous leukemia patients older than 40 years. Biol Blood Marrow Transplant. 2008;14:181-186