EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(263)

-HCT versus chemotherapy for t(8;21) AML-

(移植と化学療法とを生存率で比較)

 急性骨髄性白血病(AML)の約8%を占めるとされるAML t(8;21)では初回寛解期の移植は推奨されていない。 今回、16歳から60歳までのAML t(8;21)、初回寛解132例(1993年から2002年、化学療法群)とCIBMTRに登録された118例(26カ国、66施設、1990年から2002年、HLA一致兄弟ドナ-からの骨髄破壊的造血細胞移植移植群)の2群間の生存率を比較した。 5年累積TRM(治療関連死亡率)は化学療法群6%、移植群32%です(P=0.001)。 5年再発率はそれぞれ29%、14%(P=0.014)でした。下図に文献から引用した生存率を示します。 移植群は再発が14%と少なく、TRMが高い、化学療法群は再発が29%と多く、TRMが低いという要素が互いに打ち消し合って2群間の有意差は認められませんでした(64% vs  55%)。



コメント: TRMが低いとされるミニ移植との比較が次の課題と思われます 。

文献:Schlenk RF et al. HLA-identical sibling allogeneic transplants versus chemotherapy in acute myelogenous leukemia with t(8;21) in first complete remission: Collaborative study between the German AML intergroup and CIBMTR. Biol Blood Marrow Transplant. 2008;14:187-196