EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(276)

-Acute GVHD after UCB transplantation-
-急性GVHDの危険因子-

 さい帯血移植の話題。
 対象は265例。
 基礎疾患の約50%は急性白血病。
 その詳細は文献の
Table 1.参照。
  内訳は1単位(1人分)のさい帯血を移植した80例と2単位(2名分)移植の185例。
 移植後の急性GVHD(移植片対宿主病)頻度とその危険因子を解析。

結果:GVHDⅡ-Ⅳ頻度は2単位さい帯血移植群が高く、(58% vs 39%、P<0.01)その危険因子は
 ①2単位のさい帯血使用、
 ②ミニ移植、
 ③ATGを使用しないことの3項目。
 移植方法を2群に分けた際のGVHD頻度は以下の表のとおり。



TRM(Transplantation-related mortality):1年後のTRMは1単位、2単位さい帯血移植でそれぞれ39%と24%です。 急性GVHDⅡ-Ⅳ合併例におけるTRMの危険因子をmultiple regression analysisで解析すると、1単位さい帯血移植だけがTRMの危険因子です(P=0.03)。その他の年齢、性別、基礎疾患、病期リスク、移植方法、HLA一致度、ATGを使用、輸注細胞数、診断から移植までの期間などの項目において、関連を認めず。

結論:1単位さい帯血移植で急性GVHDⅡ度の群はTRMのリスクが高いが、その機序は不明。

コメント:TRMが高い原因は別の報告で解析予定とのこと?

文献:MacMillan ML et al. Acute graft-versus-host disease after unrelated donor umbilical cord blood transplantation: analysis of risk factors. Blood 2009;113: 2410-2415.