EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(288)

-Loss of mismatched HLA after SCT-

(移植後の再発機序)

 造血細胞移植後の免疫反応(GVL効果:graft versus leukemia effect)をのがれることにより、白血病細胞は再発する。 実は、白血病細胞が本来のHLAタイプを消失させることにより、ドナ-の免疫担当細胞からの攻撃を逃れているのではないかという報告。

対象/結果:HLA半合致移植後に再発した17例について検討した。 17例中5例(29%)は再発時に、HLA不一致の一部分が白血病細胞から消失していた。 5例中2例では、白血病細胞に特異的なHLA haplotypeを持つ新たなドナーから再度移植したところ、1例は16ヶ月以上完全緩解を維持している。

考察:再発時の白血病細胞は診断時の白血病芽球から変異し、GVL 効果を逃れて再発している可能性がある。

コメント:再発例の一部(29%)には不思議な現象がおこっている。 移植後再発白血病細胞のHLA変異を調べ他のドナーから再移植することは理にかなっている。

文献:Vago L et al. Loss of mismatched HLA in leukemia after stem-cell transplantation. N Engl J Med 2009;361:478-88