EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(292)

-RIST for metastatic breast cancer-

(転移性乳がんへのミニ移植の期待:2論文)

化学療法感受性の転移性乳がんに対してミニ移植を施行。

対象:2論文の対象例は、15例から18例と少数。 背景は下表参照。 1999年から2006年に移植施行し、2008年8月(文献1)、2008年7月(文献2)で解析した。

結果:下表のようにPFS(progression free survival:原病の無進行生存率)%の中央値はそれぞれ202日、144日。 文献1の生存3例中、完全寛解は2例でそれぞれ1555日と2526日。 残りの1例は1118日現在進行性骨病変があるが生存。 文献2は完全寛解中に2例が感染症による合併症で死亡。

文献1

文献2

症例数

18例

15例

年齢中央値

41歳

49.5歳

TRM(移植関連死亡率)

11%

13%

生存例

3例

0例

PFS中央値

202日

144日

1年生存率

72%

40%

考察:少数例では抗腫瘍効果がみられた。 観察期間が短いが今後の成果に注目。

コメント:固形がんへのミニ移植の期待を抱かせる。

参考までにEBM56には乳がんへの自家移植成績が掲載されている。

文献1:de Souza JA et al. Prolonged disease control by nonmyeloablative allogeneic transplantation for metastatic breast cancer. Bone Marrow Transplant 2009 44:81-87

文献2:Fleskens AJHM et al. HLA-matched allo-SCT after reduced intensity conditioning with fludarabine/CY in patients with metastatic breast cancer. Bone Marrow Transplant 2009 advanced online publication