EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(298)

-Reduced intensity stem cell transplant in CLL-
(慢性リンパ性白血病とミニ移植)

 慢性リンパ性白血病(CLL)の標準治療では治癒が期待出来ない。 しかし、造血幹細胞移植療法はCLL治癒の可能性がある。 2006年までのMichigan大学の細胞移植治療成績を2種類の前処置法で比較。

対象:2005年8月までのCLL50症例。 患者背景は文献のTable 1.参照。

結果:ミニ移植(RIC)21例と骨髄破壊的移植(FIC)29例との比較を以下に。

RIC FIC
年齢の中央値 54歳 51歳 P=0.009
非血縁ドナー% 62% 31% P=0.003
5年全生存率 63% 18% P=0.006
100日での移植関連死亡率 14% 27% P=0.005
診断から移植までの年数 5.0年 4.8年 NS
2年再発率 15% 14% NS
RIC:reduced-intensity conditioning
FIC:full-intensity conditioning
TRM:transplant related mortality
HCT:hematopoetic cell transplant

考察:CLL 診断の中央値が65歳であることから、CLL例はFICによる移植の適応ではなかった。 しかし、RICの登場により今回のように移植成績の有用性が示された。 移植関連死亡をもっと減らし、GVL効果を引き出す研究が必要。

コメント:慢性リンパ性白血病に福音となる報告。

文献:Peres E et al. Reduced intensity versus full myeloablative stem cell transplant for advanced CLL. Bone Marrow Transplant 2009; 44:579–583