EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(316)

-High dose cyclophosphamide for GVHD prophylaxis-
(GVHD予防に大量エンドキサン投与)

 エンドキサンは造血細胞移植後に大量投与しても、幼若な造血細胞には影響を及ぼさず、増殖するalloreactive T細胞に働きGVHDを予防することがマウス実験モデルで知られています。 そこで、以下の第1/2相試験が実施されました。

対象:年齢の中央値が50歳、117例の進行期血液疾患。

方法:移植方法は骨髄破壊的前処置を全例に施行後、GVHD予防にはday3,day4に50mg/kgのエンドキサンだけを投与した。 Primary endpointは急性GVHDⅡ度からⅣ度の累積頻度。

結果:急性GVHDⅡからⅣは43%、Ⅲ度からⅣ度は10%。慢性GVHDは10%。 117例の2年無病生存率は39%であるが、寛解期移植54例に限ると54%、非寛解期63例では29%であった。 2年非再発死亡率は17%。

考察:エンドキサン単独使用によるGVHD予防効果は良好。 多変量解析による予後良好因子は寛解期移植であった。

コメント:移植前に腎機能低下があり、シクロなどを使用しにくい症例には有用か?

Luznik L et al.  High-dose cyclophosphamide as single-agent, short-course prophylaxis of graft-versus-host disease.  Blood. 2010; 115:3224-3230.