EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(323)

-Treatment intensity in Hodgkin’s lymphoma-
(早期ホジキン病への治療強度)

目 的:ホジキン病治療の適正な治療強度の検討。

対 象:予後良好とされる病期ⅠからⅡのホジキン病1370例。5年間の追跡。

方 法:第1群はABVD4コース+30Gy照射。
     第2群は同じく4コース+20Gy照射。
     第3群は同2コース+30Gy照射。
     第4群は同2コース+20Gy照射。
Primary endpointは全生存率(OS)、完全寛解率(CR)、無病生存医率(DFS)、治療失敗がないこと。
Secondary endpointsは治療関連毒性。

結果:Primary endpointは4群間で有意差なし。
    治療関連毒性は1群で有意に多かった(4群との比較)。
    表には1+2群596名と3+4群594名との比較を示す。
    8年OSは第1群から4群までそれぞれ、94.4%、94.7%、93.6%そして95.1%。

治療方法比較 4vs2コース(症例数)

ABVD4コース(596)

ABVD2コース(594)

脱毛

28.1%

15.2%

血液毒性

24%

15%

感染症

5,1%

1.7%

治療関連死亡例

6例

1例

急性毒性(gradeⅢorⅣ)

51.7%

33.2%

5年全生存率

97.1%

96.6%

8年全生存率

94.6%

94.4%

2次がんを7.5年間の観察期間中に4.6%認めた。
各群間では差を認めない。

考察:2コースの化学療法と20Gyの照射(第4群)の8年OSは95.1%と良好。
    したがって、一部分の症例では明らかにover treatmentである。


コメント:貴重な報告。

文献1.Engert A et al. Reduced treatment intensity in patients with early-stage Hodgkin’s lymphoma. N Engl J Med 2010;363:640-52.