EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(327)

-Retrospective study of allo-SCT for Mf-

(骨髄線維症への同種移植)

目的:15年間に移植した39例の後方視的研究。
検討項目は以下。
 NRM(non-relapse mortality;非再発死亡率)
 OS(overall survival;全生存率)
 RFS(relapse free survival;無再発生存率)

対象:年齢中央値が49歳の骨髄線維症(Mf)

方法:25例は血縁者間移植、14例は非血縁者間移植。
    移植前処置はMAC(myeloablative)が15例、RIC(reduced-intensity)24例。

結果:3年OSは60%、RFS54%そしてNRM30%。
   単変量解析では
   1.血小板減少
   2.血小板輸血の既往歴
   3.レシピエントのCMV陽性が予後不良因子

考察:この報告の欠点は症例が少ないこと、フランスの4カ所の移植施設の成績のため、プロトコールがすこしずつ違う点などである。 ミニ移植の生存率が骨髄破壊的な移植成績と比較して有意差がないことも興味深い。 Kerbauy(Biol Blood Marrow Transplant 2007; 13: 355?365.)らは骨髄破壊的処置による移植成績も良好であると述べており、しっかりした移植前処置方法の比較検討が必要。

コメント:NRMも30%と高く、移植の安全性が確保されていないが、移植後の(OS:overall survival)60%は評価できる成績。

文献 Lissandre S et al. Retrospective study of allogeneic haematopoietic stem-cell transplantation for myelo?brosis Bone Marrow Transplantation advance online publication1 November 2010; doi:10.1038/bmt.2010.276