EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今月のEBM,ナウ(44)

亜砒酸-Trisenox出現

 従来の「毒」が「薬」となりました。これには当時、浜松医大教授大野竜三先生のご努力がありました。亜砒酸は最初に中国で急性前骨髄球性白血病(APL)への有効性が明らかにされ、米国にて追試の結果(文献1)、寛解率92%(12名の再発したAPLに亜砒酸を投与し、11例が寛解)。そして、日本でも厚生労働省研究班として同様の臨床試験が組まれ、寛解率78%。その有害事象には心電図異常等があります。この結果、2004年10月にTrisenoxとして認可され、市販後から現在まで、その経過が報告・記録されている症例数は2006年1月までで106例です。使用に際しては以下の警告が出されています。



 コメント:Trisenoxにより、これまで以上にAPLの治癒が期待できるようになった。

文献 Soignet SL et al. Complete remission after treatment of acute promyelocytic leukemia with arsenic trioxide. N Engl J Med 1998; 339: 1341-8.