EBMナウ
EBM (Evidence based medicine::単なる、少数例の経験から得た知識ではない根拠に基づく医療行為。
今週のEBM,ナウ(82)

神経難病に自家移植

 中国からの報告。EDSSスコアが5.0から7.5の進行型多発性硬化症15例に対して自家移植を施行した。15例中6例は神経学的に改善した。49ヵ月での無進行生存率は63.8%。8例は移植関連の合併症である下痢や発熱時に、2例はG-CSF使用時に神経学的な増悪を経験した。リンパ球のpurging(CliniMACSを用いてCD34を選別し、その幹細胞だけを移植する)を施行した9例の解析では移植結果に対して良い効果があるとは言い難い(図)。Purgingなしの6例では50%が臨床的に改善した(図の赤い棒グラフ)。移植関連死亡例はない。



コメント:多数例かつ長期観察が今後の課題。そして、どのタイプの多発性硬化症が移植に適しているかの議論が必要

文献:Su L et al.  Autologous peripheral blood stem cell transplantation for severe multiple sclerosis. Int J Hematol 2006; 84: 276-281.